トントンハウス物語 vol.5

ブログがきっかけを作ってくれた

メロンパンを販売するようになって、金沢市や小松市など遠方からのお客様も来店されるようになりました。

でも、スーパーの中のパン屋ということもあって、地元の方に見つけてもらうことが難しい。

ここに焼きたてパン屋があるよ!ってお伝えするためにはどうしたらいいのか?


2009年当時、流行っていたのがブログでした。

よし!ブログを書いて、地元のお客様に見つけてもらおう!!

日々のお店のこと、アレルギーのこと、新商品の事などをブログで発信することに。

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すると、しばらくしてお問い合わせをいただけるようになりました。

「うちの子、アレルギーでパンが食べられないんです。そちらで作っているパンを送っていただけませんか?」

お問い合わせをいただいたのは、東京の方でした。

その後も大阪、福岡、名古屋からお問い合わせが…


宅配でお送りすると、どんなに急いでもお届け出来るのは焼けた次の日です。

トントンは焼きたてパン屋。

焼きたてではないパンを召し上がっていただいて、代金をいただくわけには…


そう思い、丁重にお断りすると、

「美味しくなくてもいいです!とにかく送ってください!!」って。

お客様の勢いに押されて、納得の行かないままパンをお送りしました。


翌日。

「こんなに美味しいパンを作ってくださって、ありがとうございます!とても喜んで食べています。また注文しますので、よろしくお願いします!!」

お礼のお電話をいただきました。


地元の方に知っていただきたくって書き始めたブログ。

でも、その当時は、まだ石川県でブログを書いたり読んだりしている方はほとんどいなかったんだと思います。

お問い合せはもっぱら都会の方から。

日に日にお問い合わせが増えていきました。


電話でご注文をいただくのは、想像以上に大変でした。

お客様のご住所を伺って、伝票を書いて、ご注文通りパンを作って・・・

もちろんお店のパンも作らなくてはいけません。

しかも、作った当日に発送しなければいけない。

もう、お店はてんやわんやです。

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お電話で大量のメロンパンのご注文をいただいて、お店にメロンパンを買いに来られたお客様にお渡しできないことも。

「その目の前にあるメロンパン、何で買えないの!わざわざ遠くから来たのに!!」

よくお叱りをいただきました。


このままではパンクする、どうにかしなければ…

お客様に背中を押されて、ネットショップを作ることに。


当時は簡単にネットショプを作ることは出来ませんでした。

制作会社にお願いすると、見積もりが50万円!

とても小さなパン屋が出せる金額ではありません。


インターネットといえば検索をする程度、メールもほとんど使わず用件はもっぱら電話でした。

パソコンは持っていましたが、ブログと年賀状作成専用の端末のようなものです。


ネットショップ…できるのか?…


右も左もわからずに、ネットショップを作ることになったんです。


ネットショップ開店がパン工場建設のきっかけに

夕方までパンを作って、夜はネットショップ作り。

仮想空間のお店とはいえ、いいお店にしたい。

目指すは「パンがたくさん並んでいて、買いやすくて、信頼できるお店」


文章を書くことはできても、画像が貼れない、色を変えることもできない。

わからないことはインターネットで検索、気付けば夜中の3時。

そんな生活が続きました。

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徐々にインターネットからご注文をいただけるようになり、パンを作る工程も整ってきました。

とは言うものの、狭い店です。インターネット注文専用の窓口もなければ、スタッフもいません。


接客係は店頭でレジをしながら、インターネット注文の取り揃え。

10件もご注文があると、パンク状態。

商品の入れ忘れや入れ間違いのミスも発生するようになってきました。


何とかしなきゃ…


そんな中、今でも忘れられないお電話をいただいたんです。

それは、名古屋からのお客様でした。


「お医者さんに、卵や乳製品を少しでも食べると死ぬって言われたんですけど、そちらのパンを食べることはできますか?」


あっ、それは、、、難しいです…


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ここでは卵のサンドイッチもミルククリームのパンも作っている。

卵や乳製品が混入しないように、細心の注意を払ってパンを作っているけど、混入する可能性があるパン。

その時気付いたんです。

アレルギー対応パンじゃない、「原材料として卵と乳製品を使わないパン」だということを。


軽度のアレルギーの方にはオススメできますが、重度のアレルギーの方にはオススメできないパン。

「もしかしたら、アレルギーが出るかもしれませんが、食べてみますか?」と伺いながらパンを販売しているという事実。


薄々感じていましたが、それを心の中で隠して商売をしているストレスに耐えられなくなりました。


これを解決するためには、お店とは別の場所でパンを作るしかない。

卵と乳製品を一切持ち込まない、特別な場所。

重度のアレルギーの方にも安心してオススメできるパンを作りたい。


特別な場所を求めて、不動産屋さんに行きました。


アレルギー対応パン工場をオープン!

お店のある能美市のほとんどは田畑か山です。

開けている場所は住宅地。

空いている工場や倉庫はほとんどなく、あっても住宅地の中でした。

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住宅地の中に工場を作ることはできません。

都市計画法に基づき、用途地域が指定されているからです。


困りました。

お店がある能美市では難しそうです。

不動産屋さんに相談すると、隣の小松市のある物件を紹介されました。


家賃もそれほど高くなく、お店からのそう遠くない。

でも、9坪の物件。

せめて15坪くらいは欲しい・・・


迷っているうちに隣の物件が目に入りました。

小松市倉庫、建坪134坪、駐車場10台、家賃「用応談」


相場を考えると、家賃は30〜40万円くらい。

冗談混じりで不動産屋さんにこう言いました。

「家賃10万円だったらここ借りるんですけど…」

家賃は用応談と聞いていますので、ダメ元で家主さんに相談してみましょう!


数日後…


「家主さんから家賃10万円でOKが出ました!」

えぇっ( ゚Д゚)!


家主さんは地元スーパーの「株式会社マルエー」さんでした。

なんと担当者の方は、トントンでいつもパンを購入されているお客様。

お孫さんが、卵と乳製品のアレルギーで、いつもお世話になっているとおっしゃるではないですか!

意気投合し、商談も上手くまとまりました。


2012年3月。

無事、アレルギー対応パン工場をオープンすることができたのでした。

スタッフ4人からのスタートです。

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コメント

  • 素敵過ぎて( ´͈ ॢꇴ `͈ॢ)・*♡

    なんだか泣けてくるのをこらえながら読みました。
    一部、知っていたお話ですが、店チョんの頑張りが有り難くて感動です。
    早く続きが読みたいです| ू*꒦ິ꒳꒦ີ)。oO


  • 脱字スミマセン!!

    >>1

    すみません
    店チョさん
    です(((^^;)


  • Re: 素敵過ぎて( ´͈ ॢꇴ `͈ॢ)・*♡

    >>やなぎださん、こんにちは。
    いつもありがとうございます。
    パン工場を作って3年。
    まだまだ現在進行形ですが、これからも末長くよろしくお願いします!(*´∀`*)



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