卵と牛乳抜きのパンを作っていただけませんか?
ご近所のお客様からいただいたご要望。これがtonton物語の始まりでした。やわらかくておいしいパンを作るには卵や乳製品を入れるのがパン屋の常識。
なぜ、卵と乳製品を使わないパンを作ることになったのか?
ご近所のお客様からいただいたご要望。これがtonton物語の始まりでした。やわらかくておいしいパンを作るには卵や乳製品を入れるのがパン屋の常識。
なぜ、卵と乳製品を使わないパンを作ることになったのか?
お客様にどんなパンを食べたいか伺って、形にしていこう。
お店に並んでいるほとんどのパンは、お客さまやスタッフが食べたいと思ったパンに変わっていきました。
時には「このパンを同じパン作れる?」と、他のパン屋さんの商品を持って来られることも。
店長が都会で習得したパンはどんどん姿を消していきました。
そんなある日、こんな『お客様の声』を聞いたのでした。
「卵と乳製品を使っていないパンを作っていただけませんか?」
当時小学校5年生だった、ちなみちゃんのお母さんからのご依頼でした。
ご近所で顔なじみのちなみちゃんは卵・乳アレルギー。
今まで卵と乳製品抜きのパンを作っていただいてたパン屋さんが辞められるということで、やむなくウチに相談に来られたのでした。
その時、このお店で卵・乳製品を使っていないパンはフランスパンだけ。
柔らかくて美味しいパンを作るには、卵や乳製品を入れるのがパン屋の常識です。
実際に卵と乳製品を使わずにパンが作れるのかどうかすらわからない状態でした。
でも、せっかくご要望をいただいたんです。
何とかお客様の声にお応えしたい。
ご要望をいただいたのは、卵と乳製品を使わないコッペパン。
業務用ミキサーでパンを捏ねると、最低でも100個は出来てしまいます。
まずは手捏ねで卵と乳製品を使わないコッペパンを作ることにしました。
初めて作ったコッペパン。始まりはここからでした。
恐る恐る、ちなみちゃんに食べてもらうと・・・
満面の笑顔!
「フワフワで美味しい!!」
あの時のちなみちゃんの笑顔が忘れられません。
ご注文をいただいては手で捏ねて、ちなみちゃんのためにコッペパンを作っていました。
すると、その噂を聞きつけて、何人かのお客様に卵と乳製品を使っていないコッペパンのご注文をいただけるようになりました。
なぜか火曜日と木曜日にご注文が集中。
不思議に思って、お客様に伺うと、
「近くの寺井病院の検診日が火曜日と木曜日なのよ。」
たまたま近くの病院にアレルギー科がありました。
その待合室で、トントンに行ったら食べられるパンを作ってくれるらしいというウワサが流れているそうなのです。
日に日に卵・乳不使用のコッペパンのご注文が増えていきました。
そうか、アレルギーでパンが食べられない方がこんなにいらっしゃるのなら、店頭でも販売しよう。
コッペパンだけではなく、徐々に、テーブルロール(バターロールのような生地だけのパン)を卵・乳製品不使用のパン生地に切り替えていきました。
嬉しそうに食べてくれるちなみちゃんに、なんとなく「次はどんなパンが食べてみたい?」と聞いてみると、キラキラした目でこう言いました。
「クロワッサンが食べてみたい!」
そうか、わかった!おっちゃんに任せとき!!
勢い良く返事をしたのはいいのですが、生地はコッペパンの生地でいいとして、問題はバターの代わり。
サクサク感もさることながら、バターの風味がクロワッサンの命です。
これをどう解決するのか?
ああでもない、こうでもないと何度も試作を繰り返し、どうにかクロワッサンの形にはなりました。
サクサク感は表現出来ましたが、なんだか味が物足りない。
さつまいもやりんごで味付けするも、なんだか微妙(^_^;)
甘さが足りない。
試行錯誤の末、辿り着いたのが、砂糖を折り込む方法。
昔流行った「クイニーアマン」と同じ。
シュガークロワッサンの完成です。
試作を始めてから半年の月日が流れていました。
ちなみちゃんのお母さんに電話をして、お家まで持って行きました。
「サックサクで美味しい!生まれて初めてクロワッサン食べました!!」
それ以来、ちなみちゃんの家ではクロワッサンは常備品。
家に帰ってきてクロワッサンがないと、ちなみちゃんは荒れていたそうです(笑)
こうなると、店長は止まりません。
ちなみちゃん、次食べてみたいパンは何?
「メロンパンを食べるのが夢なんです!」
そうかそうか、わかった!おっちゃんに任せとき!!
さて、次はメロンパンです。
メロンパンの皮は、クッキーの生地。
一般的には、卵、砂糖、バター、小麦粉で作るもの。
この卵の代わりになるものは何なのか?
わからないまま、とりあえず卵を抜いて、砂糖を多めでメロンパンを作ってみました。
なんだか色白で控えめなメロンパン。
食べてみると・・・味がない(^_^;)
やはり、メロンパンは卵の風味が必要なのでしょうか。
メロンパンの皮は、まさに、「砂糖菓子」そのものでした。
納得がいかない状態の報告をブログに書いたところ、遠くから何人もメロンパンを求めてお客様が・・・
スミマセン、まだ完成していないんです…とお伝えすると、
「完成していなくってもいいから、売ってください!」って…
お客様の熱意に負けて、試作品を販売したりもしました。
このままではいけない…
納得の行かない商品を販売することほど、気分の乗らないことはありません。
完成してからブログに書くんだった…
後悔先に立たずです。
ない頭を捻って、思いついたのが「さつまいも」
色も卵に似ています。
さっそく卵の代わりにさつまいもを入れてメロンパンの皮を作ってみました。
味はとても良くなりましたが、生地がボソボソ。
パン生地に被せて焼くと剥がれ落ちてしまい、見るも無残なメロンパンの出来上がり。
このパン、なんですか?とスタッフに言われる始末(^_^;)
生地に粘りが足りないのか・・・
そんな時、ふと目に入ったのが、ある商品の試作で使った「白あん」でした。
これを入れたら、粘りが出てうまく作れるかもしれない・・・
何となく上手く出来るような気がして、さつまいものメロンパンの皮に入れてみました。
すると・・・
味も食感も申し分のない、メロンパンが出来たじゃないですか!!
とうとう夢のメロンパンが出来たんです。
卵も乳製品も使わないメロンパン。
食べてみると普通のメロンパンと変わらない。
むしろ、さっぱりしていて美味しい!
すぐにちなみちゃんに食べてもらいました。
生まれて初めての、夢のメロンパン。
またキラキラした笑顔で食べてもらったのは言うまでもありません。
夢のメロンパンがついに完成です!
味も見た目も、申し分のない、卵も乳製品も使っていないメロンパン。
これなら自信を持ってオススメできる!!
卵・乳不使用のコッペパンをご注文されるお客様にご紹介したところ、とても喜ばれました。
10個以上の大量買いのお客様もいらっしゃるほど。
ところが、ひとつ問題が…
当時、一番売りにしていた菓子パンは「サクサクメロンパン」という商品でした。
菓子パンといえばメロンパンでしょ!ということで、卵たっぷりのおいしいメロンパンをオススメしていたんです。
息子の同級生のりょうたくんは、このメロンパンが大のお気に入り。
毎日のように買いに来てくれてたんです。
卵入りのサクサクメロンパンと卵不使用のメロンパン。
売り場に2種類を並べるスペースもありません。
ご注文をいただいてから、その都度アレルギーっ子が食べられるメロンパンを作るのは大変。
困りました。
トントンは地元密着の焼きたてパン屋。
地元の方が納得出来ないパンを販売することは出来ません。
アレルギーの方のためだけのパン屋じゃない。
今までこのお店を育ててくれた地元のお客様の期待を裏切ることは出来ません。
ならば、地元の方が美味しい!って言っていただけて、アレルギーっ子も食べられる。
そんなパンが作れたら…
一番のサクサクメロンパンのファン、りょうたくん。
りょうたくんが、「いつものメロンパンのほうがイイ!」って言ったら、店頭に並べるのはやめよう。
そう思い、卵・乳不使用のメロンパンを食べてもらいました。
どう?おいしい??メロンパン、今度からこれに変わってもいい??
恐る恐る聞いてみると、
「うまい!さっぱりしていて、こっちのほうが好き!!」
ほんと!!!( ゚Д゚)
今まで一番力を入れていた、サクサクメロンパンをやめる決心がつきました。
だって、一番のファンのりょうたくんが認めてくれたんだから。
その日から、トントンのメロンパンは卵・乳不使用のメロンパンに切り替わる事になりました。
やわらかくてふわふわのパンが得意でハード系はちょっと苦手。夫婦2人から始めた、ごく普通の小さなパン屋でした。それが・・・なぜ・・・卵と乳のアレルギー対応パンを作り始め、卵と乳製品を持ち込まない日本で唯一のアレルギー対応パン工場を作ることになったのか・・・
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