背中のしわのとり方

しわの取り方のコツは動画でお伝えできたと思うので、着物のしわをなぜ脇に寄せるのかを考えてみました。


背中にしわが残っているとちょっと嫌ですよね。

着物は中央にしわを残さないように着ることが美しいとされています。


では、美しいだけで中央のしわを脇に持っていくようになったのでしょうか。

私は違うと思います。

日本人が「美しい」だけの理由で作法を決めることはあまりないですよね。

それは理にかなった美しさだからです。


人の体の関節で、一番大きく動くのは肩です。

360度、ぐるぐる回せます。

そして、何をするにも肩、腕、手は、動かさずにはいられないのです。


その一番使う腕を動かすためには、衣服にも工夫が必要になります。

腕の動きを邪魔しないために衣服には動かせるだけのゆとりが必要となります。

洋服だと前袖と後ろ袖は角度や幅を変えています。


じゃあ、着物はどうでしょう。

前後の袖の角度は一緒ですよね。

前身頃と後ろ身頃の肩の部分に特別なゆとりもありません。

では、どうしたら動かしやすいでしょう。


それは、なるべく肩の方に、脇の方に、余った布を寄せることです。

その寄せた布は、脇にたたんでしまえば、肩を上げるとき、腕を伸ばす時に、ちょうどいい具合に広がります。

背中のしわのとり方-02

体の動きを邪魔しないように、余ったしわはプリーツのような役割をしてくれます。

着物の中央に無駄な布はいらないから、余った布は脇に寄せると動きやすいですよ。

多分、作法の始まりは、こんな具合で決まっていったんでしょうね。


しわは見える部分にない方がきれい。

そして、余っている布は脇に寄せた方が動きやすい。

そんな風に考えると、着付けの決まりごとって、なるほどなぁと思います。

背中のしわのとり方